まちの会員さんご紹介 – かしわや入江 さん
2016年10月17日
今回ご紹介するのは、可部街道沿いの「かしわや入江」さんです。「入江呉服店」からの改装で8月にオープンしました。
昔ながらの商家(町家)の味わいを残しつつ真新しくなった白壁のお店の中からは商品が一掃され、お客さんがゆったりくつろげるコミュニティスペースに生まれ変わりました。
「かしわや入江」になっても呉服の販売は今まで通り続けていきますが、店頭の役割は販売よりもお客さんとのお付き合いの場とする方向にかじを切ったのです。
呉服店の商売のかたち
もともと呉服店は洋服店とちがって、お客さんと品物をやりとりするだけの業態ではありません。
入江呉服店の頃から、お客さんの「人生の節目」に晴れ着としての呉服を提供していくために、着付けや手入れ、さらにはお客さん同士の趣味の集まりの場を提供したりすることを通してお客さんと長いお付き合いをしてきました。
今回の改装もその延長線上にある取り組みです。
「折り目」と「町家」
かしわや入江さんは、可部街道の中でも可部3丁目の直角に曲がる道の近くにあります。
この曲がり道は「折り目」と呼ばれ、この一帯が城下町だった戦国時代に外敵の進攻を妨害するため設けられた仕掛けを今に残しています。
また、この一帯の古くからの商家は、間口に対して奥行きの長い「町家」造りになっています。かしわや入江さんでは、奥の居住スペースにある、高松山を望む風情ある中庭が自慢です。
漆喰の白と木組みの黒。この白と黒のコントラストは、歴史街道といわれる可部からも減りつつある町家の特色であり、かしわや入江さんが守りたかった古民家の風情です。
石臼挽きのコーヒー
軽妙な音楽の流れる店内では、6代目の入江允英氏が石臼で豆から挽いたコーヒーを淹れてくれます。
(クッキーとセットで500円、ケーキセットが700円です)
グランドピアノや音響機器も店内に備え、一般のお客さんへの貸し会場としてコンサートやギャラリー・カルチャー教室などに使えるようになっています。
また、車の通行量の多い街道沿いながら、入口を二重ドアにして防音性を高めています。
これまでも行っていた自社主催の町家コンサートも回数を増やしていく予定です。
こうした取り組みはすべて、かしわや入江という「場」の魅力を増してお客さんとの関係を強めるため。
お店から商品をなくしたかしわや入江さんの取り組みは、モノ余りの成熟社会で「呉服」というモノを販売していくための思い切った試みと言えるでしょう。
かしわや入江
〒731-0221 |