DXで社風を変革 ~RPAツールの導入で作業の自動化に成功~
2023年12月27日
広島安佐DXサークル第6弾!!
DXで社風を変革
RPAツールの導入で作業の自動化に成功
友鉄工業株式会社
太田川と国道191号に挟まれた安佐町飯室にある本社工場
安佐北区飯室に本社工場を構える友鉄工業株式会社。広島市民の足元を楽しくするマンホールの製作で有名です。これまでの「現場、現物、現金主義」から脱却したDXの取り組みについて、代表取締役社長の友廣和照さんにお話しを伺いました。(2023年12月14日取材)
Q1 御社はどんな会社ですか?
A 素材開発から大物フルモード鋳造法までを行う鋳造メーカーです。鋳造というのは鉄を約1500℃で溶かして形を作ることを指します。広島の街中で見かけるカープやサンフレッチェ、折り鶴や鯉のデザインのマンホール、また金型や工作機械・産業機械の鋳物なども、弊社では製作しています。
事務所の入口にはカープ坊やのマンホールがお出迎え
Q2 DXに取り組み始めたきっかけを教えてください。
A 弊社で製作している製品の大半が多品種少量生産品のため、生産も自動化しづらく、書類も手書き用紙のオンパレードで、事務業務に至っては手書きを何よりも重視する風潮がありました。しかし、昨今のデジタル化社会の中で、「変化を恐れていては時代に取り残され、このままでは新しい仕事も受けられなくなるかもしれない」という危機感から、DX化の取り組みを決意しました。
DX化による「成功と失敗」を発表する友廣社長(中央)と、
話の内容に共感するDX推進グループのメンバーたち
Q3 DXに取り組み始めた頃の社内の雰囲気を教えてください。
A はじめに、ITが得意な営業マンを「ITシステム部」として、専任で一人を任命しました。「これで生産数アップだろう!」と期待していましたが、実際弊社のような多品種小ロット工場ではいきなり生産数がアップするはずもなく、まだまだそれは遠い話だと感じました。そこで、工場・事務内の「見える化」から着手し、社内のネットワーク環境を整備。リアルタイムで各拠点が見えるようにしました。社員からは、「A拠点からB拠点へ移動する部材が瞬時に確認できるようになって便利だ!」と好評でしたが、モニターを見て人が判断しているようではDXではないと思い、何とか自動化したいという思いがさらに募るばかりでした。そんな中、RPAの存在を知り、事務作業からでもいいから取り組んでみようという決断に至りました。
【用語解説】RPAとは、業務を自動化する仕組みや概念を指し、それを実行するためのソフトウェアをRPAツールなどと呼びます。Excelに記述された内容をWebアプリに転記するなど単純作業を自動化し業務効率化を実現します。
Q4 RPAを使ってのDXについて教えてください
A もともと事務作業に関しては、デジタル入力に少しずつ取り組んではいました。ところが、正直業務量は変わっておらず、時期によっては残業のある月もありました。そこで5名の女性事務社員に直接ヒアリングを行い、この5名を中心にRPAプロジェクトを発足。RPAのシナリオ作りももちろんこの5名のメンバー自身で行っていますよ。中でも、事務のリーダーである土井さんが一番「RPAの構築ってゲームみたいで楽しい!」とハマってくれたのが大きかったですね。RPAを導入して2年で、パソコンによる面倒な単純作業はほとんどRPAが担ってくれるようになりました。そのおかげで、彼女たちには人間にしかできない、「考えること」の業務に時間を割いてもらっています。
またこれを皮切りに、製造領域でもDXを拡大しています。検査機器をデジタル機器に変更し、RPAと一緒に活用することで、毎日45分かかっていた検査作業が、わずか7分に短縮しました。
鋳造部門ではタブレットやモニターで業務を管理
検査部門では検査結果が直接パソコンへ入力されます
Q5 DXの取り組みによって、社内での変化はありましたか?
A 【土井さん】社風が大きく変わりました。入社以来「手書きが大切」と教えられてきましたが、友廣社長から「DXをやらなければ取り残される」という熱い言葉を受けてRPAを始めたところ、日々の業務に余裕が生まれるようになました。空いた時間をさらなるスキルアップに充てられるようになったことで、社員一同が「やってよかった」「もっとやってみよう」という、チャレンジする意識が高まりました。
Q6 今後の取り組みを教えてください。
現状は、事務作業のRPA化が一番進んでいます。これからは、本業である製造領域のDX化を本格的に進めていきたいです。そこに着手するためには、まずは自分たちのITスキルが身に付かなければと思っています。まずは、出来るところから始めて、そこで生まれた時間でスキルアップに努めていく予定です。時間にゆとりが出来ると気持ちにもゆとりが出来ます。新しい柔軟なアイデアも生まれてくると思っているので、これからもこの取り組みは積極的に続けていきたいです。
写真中央が社長の友廣和照さん、右側が係長の土井博恵さん、左側がツッキー
【会社概要】
社名/友鉄工業株式会社 本社・安佐工場
住所/〒731-1142 広島市安佐北区安佐町飯室6151-1
代表者/友廣和照
設立/昭和34年6月
資本金/4,450万円
従業員/92名
鋳鉄品製造/日本工業規格表示認定工場 認証番号QA0608002
日本下水道協会下水道用資器材製造認定工場認定番号 第113402号
【広島安佐DXサークル】
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