世界に誇るオンリーワン企業「日本サカス株式会社」
2023年05月16日
広島安佐DXサークル第1弾!!
デジタルの導入で躍進する水槽メーカー
~世界に誇るオンリーワン企業「日本サカス株式会社」~
太田川の高瀬堰近く(安佐南区八木)に、水槽・アクアリウム事業を通して、快適でエンターテイメントな世界を実現する「日本サカス㈱」がある。広島安佐DXサークルの第1弾は、同サークルのメンバーでもある日本サカス㈱のDX化への取り組みについて話を伺った。(2023年4月25日に取材)
■ペットショップから水環境のトータルプロデュースへ
全国の水族館などの舞台裏を担うエンジニアリング企業・日本サカス㈱は、ペットショップからの祖業で、2022年に創業55年を迎えた。1980年代の活魚ブームから、現在の主軸となる水槽の設計・製造・施工へとシフトチェンジしていった。
日本サカスで生み出される水槽は、単に海洋生物が収まる〝箱〟だけではない。大型水槽の構造計算、水槽内を流れる水流を計算した設計やデザインはもとより、水質維持のための水処理設備も合わせて手掛けている。こうしたメーカーは国内ではオンリーワンの存在という。
活魚水槽から水族館設備まで、水環境のトータルプロデュースを手掛けており、四国水族館や大阪の海遊館など、数多くの施設へ水槽・アクアリウムを提供している。
さらに同社では、〝水槽の水を抜かないでアクリルパネルを修復する装置と工法〟〝結露しないアクリルパネル(ペアアクリル®)〟の2つの特許も保有。「これらの実績を実現させるためには、DX化が必要不可欠だった」と、蓼(たで)社長は会社の歩みを振り返る。
【日本サカス㈱のエントランスにあるアクアリウム】
■チャットワークの導入がDX化への一歩
DX化のきっかけは、平成30年のチャットワークの導入から。「水槽事業が軌道に乗り、現場施工のための出張が増えてきました。出張した社員と社内の社員とで、〝言った言わない〟のトラブルが起きはじめたことで、本格的にデジタル化を意識しました」と蓼社長。それまでは口頭での伝達が多く、記録としてやりとりを残すためにもチャットワークの導入が不可欠となった。
また、「一人対一人での情報共有しか行えなかったものが、一人対多人数への情報展開が可能となったことも大きなメリットだった」と、蓼社長は目を細める。
これを皮切りに、社員数の増加により総務課の大きな負担となっていた給与計算のシステムの導入や、千葉県での事業所の開設により、Googleワークスペースやドロップボックスなども導入した。さらに今春からは、伝票の重複・発注確認の手間を削減する目的から、販売管理システムも新たに導入した。
「まずは自分たちから」が社風
「新しいものを取り入れるときは、自分たち経営者側が十分理解したうえで社員へ展開するようにしています。もちろん反対意見はありますが、それを受け入れることも重要ですね」と蓼社長。
【流体解析作業風景】
日本サカス㈱では、それぞれの立場を尊重して取り組むことを大切にしているという。「風通しのいい会社」を掲げていることや、蓼社長自らが「まずはやってみよう!」という考えを持っていることなどから、DX化への大きな反発は少ないとのこと。実際は、新しいことが好きな社員より、苦手意識を持つ社員が過半数だというが、互いにリスペクトできる環境づくりを行っているからこそ、デジタル化が無理なく進んでいるのだと感じた。
DXを進めるにつれ、社員の意識も変化
「DX化を行うには、まず2~3年後に会社がどうなりたいのか、という明確なビジョンが必要です。はじめは無理してでも、チャレンジしようという意識が大切。現状のままでは退化しかないですからね」と、コメントに熱が帯びてくる。
【バーコードを活用した進捗報告風景】
DX化を進めるにつれ、社員の意識も変化してきた。「もっとこんなことは出来ないの?」「この使い方ならこんなこともできる?」というような、前向きな意見が出るようになったという。当初は苦手意識があった社員も、デジタル化への嫌悪感がやわらいできたことが実感でき、「さらなるDX化への取り組みを続けていく」と、目を輝かせる蓼社長だった。
【取材を終えて…】
DXサークルの皆様こんにちは。東洋電装のツッキー🌙です!
第1弾となるDXサークルの取組見学会では日本サカス(株)の蓼社長にインタビューしてきました。日本サカス様では蓼社長をはじめとしてとにかく社内の雰囲気がとても良い素敵な企業です。
DXの取組はやはり反対意見もあるけれど蓼社長をはじめとする皆様の寄り添う気持ちがとでも感じられるからこその日本サカス様ではDXが進んでいるのだと実感しました。
【ツッキー(左)と蓼社長】
広島安佐DXサークルへの想い
広島安佐商工会と東洋電装㈱が進める「広島安佐DXサークル」では、同会の管轄エリア内で、DXを推進するために、セミナーや意見交流会、工場見学などを行っている。中小・小規模事業者のDX化やデジタル化の底上げだけではなく、同エリア内の事業者同士のコミュニケーションの場を目指すのが、このサークルの目的だ。
【広島安佐DXサークル「推進グループ」の活動の様子】
広島安佐商工会の会長でもある蓼社長は、「このサークル内では、業種や業態が違う中小・小規模事業者さんたちが質問したり、ディスカッションや交流をしたりすることができます。こうした取り組みができる場は、なかなかないものです。広島安佐DXサークルの活動メインは、DX化やデジタル化ですが、いろいろな意見の交換なども含めて、有意義なサークルにしていきたいです」とサークルの必要性を語る。