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R7年度広島安佐商工会 景況感アンケート調査報告書

1. 地域経済動向調査伴走型小規模事業者支援推進事業経営発達支援計画

2025年12月01日

R7年度景況感アンケート報告書

調査概要

本報告書は、令和7年7月に広島安佐商工会が実施した景況感アンケート調査の結果をまとめたものです。総回答数は61社となっています。

回答企業の構成

回答企業の業種別では、サービス業が13社(最多)、建設業が12社、小売業が11社と続いており、製造業6社、飲食業5社、卸売業2社などが見られ、その他業種が12社の計61者となっています。

従業員数別では、0人(個人経営)が13社、2~3人が13社と小規模事業者が中心であり、11人以上の企業は3社のみです。事業所の所在地は可部地区が24社(約39%)で大多数を占め、安佐地区15社、佐東地区11社がこれに続きます。

景況動向の分析

令和7年4月~6月の事業状況を昨年同時期と比較した結果、各項目における悪化傾向は以下の通りです。

景況感においては、「やや減少・悪化」24件と「かなり減少・悪化」7件の合計31件(50.8%)が50%を超える悪化傾向を示しており、厳しい状況となっています。

一方、売上額は「やや減少」20件と「かなり減少」3件で23件(37.7%)、客数も同じく23件(37.7%)が減少傾向を示しています。資金繰りについては「やや減少・悪化」17件と「かなり減少・悪化」4件の計21件(34.4%)で、悪化の度合いが若干低い項目となっています。

取引先の景況は「やや減少・悪化」22件と「かなり減少・悪化」3件で25件(41.0%)、業界景況は「やや減少・悪化」18件と「かなり減少・悪化」10件で28件(45.9%)となっており、地域経済全体に徐々に悪影響が波及していることが懸念されます。

物価高騰の影響

物価高騰による影響について、85%(51件)の企業が何らかの影響を受けています。内訳は「とても影響がある」が21件(35.0%)、「やや影響がある」が30件(50.0%)で、合わせて51件となります。一方、「どちらともいえない」は5件(8.3%)、「あまり影響はない」は4件(6.7%)と限定的です。

これにより、物価高騰は回答企業の大多数に実質的な経営負担をもたらしていることが確認されました。

人手不足への対応状況

人手不足に関する課題認識では、45.9%(28件)の企業が既に人手不足を深刻な課題と認識しています。詳細には、「大変深刻(経営に支障が出ている状況)」が3件(5.1%)、「深刻(このままでは経営に支障が出る)」が9件(15.3%)で、現在既に課題を抱えている企業は12件(20.4%)です。

一方、「深刻ではないが重要な問題となっている」という企業が16件(27.1%)であり、「将来的に問題となる可能性が高い」という企業が27件(45.8%)で最多となっています。また、「対策を講じて改善できている」という企業は4件(6.8%)に過ぎません。これらの結果から、人手不足は現在進行中の課題であり、今後さらに深刻化することへの懸念が強いことが読み取れます。

最優先経営課題

複数選択による最も優先順位の高い経営課題では、販路開拓・マーケティング等が20件(32.8%)で最多です。次に物価高騰が15件(24.6%)、資金繰りが10件(16.4%)、人手不足が8件(13.1%)と続きます。その他の課題としては、価格転嫁(6件、9.8%)、人材育成(6件、9.8%)、デジタル化・DX(6件、9.8%)が同率となっています。

販路開拓・マーケティングが圧倒的に重視されていることから、売上確保のための営業戦略が急務である企業が多いことが明確です。

補助金・助成金への関心

補助金・助成金制度への関心については、小規模事業者持続化補助金が18件(29.5%)で最も高い関心を集めています。次に「特になし」という回答が11件(18.0%)で、業務改善助成金が7件(11.5%)、ものづくり補助金とIT導入補助金がそれぞれ3件(4.9%)となっており、その他の補助金に関する問合せは6件(9.8%)です。

小規模事業者持続化補助金への高い関心は、回答企業の多くが小規模事業者であることと一致しており、経営基盤の強化に対する現実的なニーズを反映しています。

人手不足対策に必要な支援(複数選択)

人手不足への対応に必要と考える支援については、補助金・助成金活用支援が20件(32.8%)で最も多く、人材育成支援(研修等)が12件(19.7%)がこれに続きます。広報活動(人材確保など)のサポートとデジタル化や自動化のサポートがそれぞれ7件(11.5%)、専門家のアドバイス(無料)が5件(8.2%)となっています。

これらの結果から、企業は人手不足対策に対して、資金的支援と人材確保・育成に関する実践的支援を強く求めていることが明らかになりました。

まとめ

本調査から読み取れる主要な課題として、①景況感の悪化(50.8%)、②物価高騰の広範な影響(85%)、③人手不足への深刻な懸念(45.9%)、④販路開拓・マーケティングの緊急性(32.8%)が挙げられます。小規模事業者中心の当地域経済は構造的な課題に直面しており、補助金・助成金の活用と人材確保支援が重要な施策として期待されています。

 

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